こんにちは。「社会福祉士相談所 LOVE」です。
先週の『福祉新聞』にこんな記事が掲載されていました。
哀しいですね…。法律(「身体障害者補助犬法」)で受け入れ義務があることを知らない事業者の方々ももしかしたら一部いらっしゃるかもしれないけれど、多くの事業者は、「解ってはいるけれど、不安…。」という気持ちが大きいのではないかと思います。(因みに、「盲導犬」は「身体障害者補助犬」に含まれます。)
そこで、今回は法律の内容を確認しながら、「大丈夫」なことをご理解頂ければな。と思い、書いてみることにしました。
まず、最も大切な法律の規定は次の2つです。
○不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。
○公共交通事業者等は、その管理する旅客施設及び旅客の運送を行うためその事業の用に供する車両等を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない。
「拒んではならない」と、明確に規定されています。即ち、同伴拒否は原則として、その事業所等が法律違反を行っているということを意味します。
そうは言っても、「もしその補助犬が他の顧客等に危害を加えたり、施設内で排泄等をして施設を汚してしまったら…。」
「(特に飲食店等であれば)衛生面が不安…。」という気持ちもあるかもしれませんね。
法律は、ただ「同伴を拒んではいけませんよ(受け入れなさい)」とだけ、言っている訳ではありません。実は、補助犬を使用する身体障害者にも、様々な義務を課しています。
○身体障害者補助犬を使用する身体障害者は、自ら身体障害者補助犬の行動を適切に管理することができる者でなければならない。
○施設等の利用を行う場合において身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が、他人に迷惑を及ぼすことがないようその行動を十分管理しなければならない。
この2つも義務規定なので、もし身体障害者(飼い主)が補助犬を管理出来ていないのであれば、身体障害者が法律違反を行っているということになります。なので、遠慮なく「困りますよ!」と言えば良いですし、むしろ言う必要があることだと考えます。相手が身体障害者だからと躊躇する必要は全くありません。
逆に言えば、事業所等が懸念を示された場合には、飼い主である身体障害者は、「受け入れ義務がある」ことを伝えると同時に、「もしも、補助犬が迷惑をかけた場合は、自分が責任を負う。」ということも、しっかりと伝えなければならないと考えます。
それでもまだ不安が拭えない場合には、飼い主に書類の提示を請求して下さい。
○身体障害者補助犬を同伴し、又は使用する身体障害者は、その身体障害者補助犬が公衆衛生上の危害を生じさせるおそれがない旨を明らかにするため必要な厚生労働省令で定める書類を所持し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
上記規定を見て頂ければ解るように、「今持っていない(忘れた)」とか、「見せられない」というような回答は、到底認められない(あり得ない)ことです。
最後に。受け入れて、万が一何か困った問題が発生した場合には、都道府県知事に苦情を申し立てることができます。
○施設等を管理する者は、当該施設等の所在地を管轄する都道府県知事に対し、当該施設等における当該身体障害者による身体障害者補助犬の同伴又は使用に関する苦情の申出をすることができる。
※指定都市、中核市においては当該指定都市、当該中核市の長に苦情の申出をすることができる。
唯一、法律に規定されていない困りごととして、「他の利用者等が犬嫌いや動物アレルギー等だった場合は…。
これは、障害者差別解消法の考え方を踏まえると、答えは見えてくるように思います。
まず、漠然と「もしもそういう方がいたら…。」ということではなく、店員が一声かけて他の利用者等に確認する。理解を呼びかける必要があると考えます。
そのうえでもしも、「どうしても難しい」という方がおられた場合は、補助犬利用者にその旨を伝えれば良いと思います。そうすれば、利用者が考え、判断するはずです。
例えば、施設の外で補助犬を待機させておくから、施設内での手引誘導を依頼出来ないか。というようなことが想像出来るでしょうか…。
利用者のその応答に対して、「それなら出来る・それは難しい」とまた、応答する。
建設的対話とは、相手を攻撃せずに、穏やかにやり取りを重ねていくこと。やり取りのキャッチボールのことだと思います。
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