こんにちは。「社会福祉士相談所 LOVE」です。
今回は、このブログでも2度程取り上げた、当事業所が昨年末に受けたケースの最終振り返りを兼ねて、(当事業所が躓いた点を中心に)『生活福祉資金貸付制度』のことを記したいと思います。
過去ケースの振り返りの前に、まず、基本的な制度概要を記します。『生活福祉資金貸付制度』とは…。
所得の少ない世帯、障害者や介護を要する高齢者のいる世帯に対して、資金の貸付と必要な相談支援を行うことにより、その世帯の生活の安定と経済的自立を図ることを目的とする社会福祉制度。
です。ちなみに当事業所が対応させて頂いたケースは、「高齢者世帯」に該当します。また、この貸付制度は原則として、未払い・未契約の費用が貸付対象になります。
対応ケースの場合は、要介護高齢者の入院により一時的な困窮状況に陥ったケースで、入院費の支払が発生する直前に相談に来られた。「タラレバ」の話をしても仕方がないことですが、入院前、せめて入院直後に、貸付相談をしていれば、もしかしたら可能性があったかもしれません。(ただ、入院=入院「契約」が発生したと考えると、難しいのかも…。「○日~の入院」というような猶予期間があれば良いけれど、病状によっては即日入院ということはあり得ますよね…。)
そして、貸付制度なので利用を考える際には基本的なこととして、クライエント(世帯)の所得状況(平均月額)をお伺いして、その所得状況で対象になる可能性があるかどうかを担当窓口に確認しておくべきでした。もしも、当該世帯が市町村民税非課税世帯であれば、「低所得世帯」に該当する可能性もあり得ます。当事業所は、「無闇にセンシティブな情報をお伺いすべきでない」と躊躇してしまいましたが、経済支援の基本を押さえられていなかった論外な対応でした。
2つ目の決定的なミスは、この制度の「貸付対象とならない主な事例」のひとつに、「必要な資金の融通を他から受けることができる人の属する世帯(他法や他制度の利用又は検討が可能な場合)」というのがある。『生活福祉資金貸付制度』についての充分な知識を踏まえ、担当窓口に確認等を行った上で、「他法や他制度の利用又は検討」をクライエントと一緒に考えることが、社会福祉士相談所である当事業所の本来の役割であり、行うべき仕事でした…。
当事業所が全く出来ていなかったことですが…。本来であればクライエントと面接する前に、最低限上記の内容等を押さえた上で、クライエントから詳細な状況をお伺いし、この制度を利用するか、他の方法を採るかをクライエントと一緒に考えていく必要があった。
ちなみに、「他の方法」としては、貸付制度のような直接的に収入を増加させるような方策はなかなか思いつきません(本貸付制度と生活保護制度くらい)が…。「高額療養費制度」や、「自立支援医療制度(精神通院医療)」を活用し、医療費の支払いを抑えるという方法が考えられました。また、場合によっては、「社会福祉法人等による生計困難者等に対する介護保険サービスに係る利用者負担額軽減制度事業」を利用することも可能であったかもしれません。
また、この貸付制度は、「緊急かつ一時的に生計維持が困難な状況であること」、「返済の見通しが立つ」、「医療費又は介護費の支払で臨時の生活費が必要」、「給与支給までの生活費が必要」等、当事業所に相談に訪れたクライエントに合致するのではないかと思われる項目がたくさんあったことも事実です。だからこそ、当事業所職員に当該制度に対する深い理解があれば、担当窓口に同行して交渉するといったことも可能であったかもしれない。その点は当事業所の力量不足が本当に申し訳なく、悔やまれます。
ただ…。担当窓口と電話で話したクライエントが、「あの機関は話を聞くだけで支援する気がないように感じた。」、「長々と聞き取られた挙句対象外と言われた。」等の印象を持った(当事業所に報告下さった)ことは、どこまでいってもその機関の落ち度と感じます。
当事業所も他の社会福祉事業所も、どこまで行っても法制度の中で動かなければならない立場…。出来ないことは出来ない。「ノーをイエスとは言えない」…。だからこそ、結論以上に、伝え方、言葉選び、受容・共感というような接遇の部分が問われる。当事業所も改めて、肝に銘じたいと思います。この案件、本来ならば、「窓口の対応は悪くなかった。それに引き換え、あの相談所は何よ!もっときっちりと教えてくれていれば!」とならなければいけなかったはずなのですよね…。そして、当事業所はもっともっと、力を付けていかなければなりませんね。
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